天沢退二郎 光車よ、まわれ!

世界は何も変わっていないかの様に、でも僕らの日常は奇怪な事件を中心に回っていく。クラスメイトの異変に気づいた一郎は、龍子らとともに3つの”光車”を探すことになる。町のどこかに隠されている”光車”を巡って、黒い何かと戦うことになるが……。
児童文学、ファンタジーの傑作と何度も目にしてきたが、この度の文庫化を機会に読む。仲間の物語かと思いきや、主人公がそもそも途中参加、仲間の途中棄権あり、独立した視点からの合流……(こう書くと、下町を舞台にしたサガ・シリーズみたいだな)と不思議な物語だった。初っ端から感じさせる異世界からの侵入にガッツリ心をつかまれ、クライマックスの激しさまで読み止めることはなかった。よく頭の中でアニメ化してしまうのだけれども、その点でいえば『光車よ、まわれ!』の終盤が今年一番だ。

光車よ、まわれ! (ピュアフル文庫)

光車よ、まわれ! (ピュアフル文庫)