荻原規子 源氏物語 紫の結び 一

母、桐壺の身分は低かったが、誰もがその子の容姿、才能、明晰さに惹かれ、父である帝の寵愛を受けて育った君。新しい妃の藤壺は母に似ているというが、君は惹かれるも、その思いは叶わない。そして山里で垣間見た少女との出会い。のちに生涯をともにする光源氏と紫の上の物語が始まる。
光源氏と紫の物語を軸に、スピード感あふれる現代語訳版。誕生の「桐壺」から、帰還の「明石」まで、サブエピソードを省いているだけで超読みやすい。生まれもってのハイスペック、両親にまつわる因縁はまさに少年マンガだけど、「須磨」でパワーアップして帰ってくる流れは修行編。ジャンプで読んだぞこれ! といえるレベル。海外小説でもつくづく訳者との相性を感じるけど、源氏物語もまさにそう。いい訳にようやく出会えた。

源氏物語 紫の結び(一)

源氏物語 紫の結び(一)