安田登 『平家物語』 NHK100分de名著

絶対的な権力を手に入れた清盛だったが彼の死後、雪崩のように平家は衰退してしまった。せめぎ合う「光」と「闇」の物語は、なぜフィクションとして語り継がれるようになったのか。現代にも通じる運命論や人間論を、能楽師が説明する。

「光」の貴族と「闇」の武士。絶対的な「カリスマ」清盛と、平家による「システム」を作ろうとした重盛。「海」から莫大な利益を得た平氏と、「陸」から攻めたてた源氏。対比によって紡がれる衰亡の鎮魂歌。大河ドラマから解説にいくつか読んできた中で、もっとも全体像がわかりやすい、とてもいいガイダンス本だった。著者の語り口は『能 650年続いた仕掛けとは』も分かりやすいのでおすすめしたい。