月村了衛 欺す衆生

戦後最大の詐欺集団、横田商事の社長が刺殺された。社員の隠岐は目撃から引退を決意するが、元同僚の因幡から勧誘を受けて再び詐欺の世界に戻っていく。ノウハウを活かして大きな利益を生むが、同時に経済ヤクザたちが近寄ってきた。不毛の土地を売り、存在せぬ牛を紹介し、騙し合いの海外ファンドを売る隠岐の未来は……。

第10回山田風太郎賞受賞で読んでしまった。詐欺企業として成熟していく序盤より、経済ヤクザ(クライアント)と華僑ヤクザ(クライアント)に挟まる中盤以降が熱い。暴力と崖っぷちの被害者が活きいきと書かれている。ひと段落では終わらない結末まで含めて、サラリーマン向けの小説だった。機龍警察シリーズに挑まねば。