大塚英志 木島日記 乞丐相

民俗学者折口信夫が出会った古書店の主人。仮面をつけた男、木島平八郎は「この世にあってはならぬもの」を仕分ける仕事も負っていた。山中の寒村で起こった大量殺人事件。玄関先に置かれた見知らぬ赤子。トラブルを引き受ける人間避雷針。

鬱々とした折口信夫の視線で軍人たちが闊歩する東京を書く、伝奇ミステリー第2弾。シリーズ新刊が出ると聞いたので再読したつもりだけど、もしかして読んでなかった……? 津山三十人殺し事件や大和造艦計画など、史実を違う角度から切るのではなく、オカルトと混ぜてしまうところが好き。