- 作者: ジョージ・R.R.マーティン,George R.R. Martin,岡部宏之
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2006/09
- メディア: 文庫
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中世イギリスをモチーフにした、夏と冬が不定期に変動する”七王国”が舞台。300年弱のターガリエン家による統治がなされてきたが、ロバート・バラシオンが叛旗を翻したことで、一族は滅亡する。新たに玉座を手にしたロバートにより、微妙なバランスを保ちながら平和と長い夏が続くと思われていた……。
しかし新王朝から15年、補佐役である”王の手”アリン公が死去。ロバート王と共に剣を手にした、北の地を収めるエダード・スタークが新たに任じられるが、アリン公は殺されたとの噂を聞く。”王の手”は宮廷で何を見たのか。何を知ってしまったのか。それはアリン公の妻・リサの虚言ではないのか。真実を求めるエダードと共に、その妻や息子たちは長い冬に晒されていく。
以下は、第1部の感想をネタバレ含めて。
- タイウィン公のロブ評の後、裏をかかれジェイムが捕虜になる流れ。次のエピソードで、ジョフが母親と議会を押しのけてエダードの首を切らせる流れに繋がる。ここ渋いよね。
- ジョンとアリアが同時に「針(ニードル)!」と呼び合うところ。エダードとサーセイの神々の森での対話「かれの体はすみずみまで王でしたよ」。ティリオンの呼びかけにブロンが名乗り出る。脱走したジョンを呼び戻すため、皆が誓いの言葉を述べ合う。このへんがベスト・シーン。あ、あとマイスター・エーモンが長年の苦悩を告白するシーンも好き。
- 毎回思うんだけど、デーナリスのパートが意外と面白いよね。か弱く優しい少女の成長譚にしては過酷すぎて、でもロマンチックなほど愛してしまう過程が素敵すぎる。わたしのお日様、お月様……。
- サムは第2部『王狼たちの戦旗』からの登場だと思っていたし、戦争が始まるのも同じくだと思っていたり。ようやく第3部『剣嵐の大地』ラストでの、アリアの行方を思い出したり。このまま第4部『乱鴉の饗宴』に取り掛かっていたら危なかった。
- サー・ジョラーとジオー・モーモントが血縁関係だと、また忘れていた。2人は出会ったりするのだろうか。
- この第1部の顛末と、第2部序盤の動きは、ロバートが種をまき、エダードが耕し、ロバートが15年かけて育てた結果だ。ロバートが反乱の際に負けていれば、こんなことにはならなかった。いやまあ、ターガリエン家も悪いけどね(というより狂王エリス2世がか)。
- 恣意的な視点ではあるけれども、みんなターガリエン王朝をいい時代だったとは振り返らないよねー。知っている人の多くがエリス2世だということもあるが。また振り返れないデーナリスという存在は面白い。無自覚に同じことを繰り返していきそうな気がしてならない。そもそも第2部以降のデーナリスの動きは、ターガリエン王朝設立のモチーフを隠しているかもしれない。