ジョージ・R・R・マーティン 王狼たちの戦旗 ― 氷と炎の歌 改訂版

300年弱のターガリエン家による統治がなされてきたが、ロバート・バラシオンが叛旗を翻したことで、一族は滅亡する。新たに玉座を手にしたロバートにより、微妙なバランスを保ちながら平和と長い夏が続くと思われていた……。
しかし新王朝から15年、補佐役である”王の手”アリン公が死去。ロバート王と共に剣を手にした、北の地を収めるエダード・スタークが新たに任じられるが、アリン公は殺されたとの噂を聞く。”王の手”は宮廷で何を見たのか。何を知ってしまったのか。それはアリン公の妻・リサの虚言ではないのか。真実を求めるエダードと共に、その妻や息子たちは長い冬に晒されていく。
中世イギリスをモチーフにした、夏と冬が不定期に変動する”七王国”が舞台。訳者変更などを経て、名称などを新訳に合わせた”改訂版”。ドラゴンや魔法といったファンタジーが終焉した、過去の遺物となった世界で、王家を巡る戦乱が始まる。第一部『七王国の玉座』改訂版感想。
七王国の玉座〔改訂新版〕 (上) (氷と炎の歌1) 七王国の玉座〔改訂新版〕 (下) (氷と炎の歌1) 王狼たちの戦旗〔改訂新版〕 (上) (氷と炎の歌2) 王狼たちの戦旗〔改訂新版〕 (下) (氷と炎の歌2)
王の死。王の手の死。そしてドラゴンの誕生とともに、一夜にして現れた真紅の彗星。それは、全ての行いと思いと言葉を、混乱へと誘う象徴だった。平和、血、名誉、死。真の王を求める領主たちによって、遂に七王国は五王戦争に突入する。そして北では冷王マンス・レイダーが、狭い海の向こうではターガリエン一族の末裔・少女デナーリスが再び立ち上がろうとしていた……。
高い、長いなどの言葉も見かけるけど、この面白さを前にして、そんな言葉を呟いているとは……。このエンディングを読むために、またも手にしてしまった改訂版第2部。4度目の通読になる。離散した家族、混乱する大地、手の届かない目の前の大陸、我こそが王だと思う意思。複雑に絡みあい、もつれ合う思い。好きすぎて言葉にできない。楽しすぎて、満足な感想さえも書けない。