川上稔 連射王

野球部員の高村コウは、何事も上手くこなしていたが、本気になれるものを探していた。恋でも将来のことでもない、自分が求める何かを……。そして、一台のシューティングゲームと彼は出会う。その名は連射王。彼らは何を求めて敵を倒し、弾を避けるのか。
高校の帰り道「鉄拳やろかー」の駄菓子屋ゲーセンで、『怒首領蜂』『ぐわんげ』を見たときの衝撃は凄かった。あの絶望感、あの孤高さ。その感情を文章化したといえば恥ずかしいが、見事な青春小説・ミーツ・シューティング。年頃の乾いた視線で語られる、目的のない青春、遠い未来。そして友人や幼馴染の、見えてこない気持ち。のめり込むことによって細かな描写になっていくゲーム・ストーリへの想像力。ボタンを叩く指先の音が聞こえてくるよう。なんてわかりやすい。でも良いんだ。それが良いんだ。そして僕はiPhoneエスプガルーダ2に戻るのだった。

連射王〈上〉

連射王〈上〉

連射王〈下〉

連射王〈下〉