木原浩勝 九十九怪談 第六夜

新耳袋』に続く新しい百物語シリーズ。しばらくこのシリーズを読んでいないと思ったら、3年ぶりか。怪談を読んだという充実感があるわけでもなく、もうこれで終わりにしようと思います。

葉真中顕 コクーン

1995年3月20日丸ノ内で起こった新興宗教団体「シンラ智慧の会」による無差別乱射事件。その首謀者は教祖の天堂光翅であった。彼に関わった者は、一匹の煌めく金色の蝶を見ていた……。

様々な視点で語られる事件の断片。貧困や震災など、社会問題を切り口にしてグイグイ読ませるのは、葉真中顕の上手さだよね。それぞれの苦しさが読者にとっては甘美で口当たりよく、いつまでも汚い音をたててすすれてしまう。他の作品でもオチの感触が好きではないんだけれど、今回はボーナストラックにビックリ!

コクーン (光文社文庫)

コクーン (光文社文庫)

松井優征 東山彰良 魔人探偵脳噛ネウロ 世界の果てには蝶が舞う

弥子とネウロに会った笹塚刑事は、1匹の蝶を見た。その瞬間、笹塚は遠いあの日を思い出した……。逃げるように日本を飛び出し世界中を旅した彼は、南米で1人の少女に出会う。マフィアが闊歩する街で、命がけの非日常に巻き込まれるが……。

のちに直木賞を受賞した作家による、魔人探偵脳噛ネウロのスピンオフ小説。原作マンガで触れられていた笹塚の過去が書かれる良作。奇天烈かつ本格的な密室トリックがさらっと登場するあたり、原作通りともいえる。ファンなら十分に嬉しい内容で、興味あれば探してでも読んでほしい。