三上修 電柱鳥類学 スズメはどこに止まってる?

私たちの生活を支える当たり前のインフラでもある電柱と電線。そこには多くの鳥たちが関わっていた。羽休めをするものや、暮らしてしまうものまで、電柱を介して見た鳥たちの姿とは。電柱・電線、そして鳥たちの生態を解説する。

導入は鳥ではなく電柱の解説。確かに複雑怪奇に絡み合って伸びる電線のことも、それを支える電柱のことも何も知らないで歩いていたな……。もちろんカラスやスズメなど、電柱で見かける鳥の話しが書かれるが、読み進めるほど電柱のことをもっと知りたくなってしまった。読了後は視線を上げて歩くことが多くなり、散歩の風景が一変した。電柱の本も読みます。

アンソニー・ホロヴィッツ その裁きは死

敏腕弁護士が殺害されて発見されたが、そこには“182”とペンキで殴り書きされていた。被害者は多くの人前で殺害予告をされていたり、殺される直前に謎の言葉を残していたりしたが……。作家ホロヴィッツと元刑事のホーソーンが再び難事件に挑む。

国内のミステリーランキング総なめだった『メインテーマは殺人』が面白かったので、第1位4冠の本書も読んでみた。全貌がまったく見えてこない序盤から、答えをミスリードさせる展開の上手さは前作同様。多少の好みはあるとしても、ザ・本格ミステリーを読んでいる気持ちよさがある。バディものとしては探偵ホーソーンの不透明な生活がどこまで面白くなるか……。

宮澤伊織 裏世界ピクニック4 裏世界夜行

冬。閏間冴月に関する断片を求めて〈山の牧場〉を調査する空魚と鳥子たち。より侵食を深める裏世界に怯むことなく、一夜を過ごすために計画を練る。さらに過去を刺激される空魚だったが……。

夢に見るほどキャラクター小説に没頭した結果、抱けや! はよ抱いてしまえや! という感情が止められなかった。これはもう百合じゃなくて、ジャンル“性欲”です。20年前にも「君は読みかたがわかってない」と怒られたな……。2人の心の距離感で読者を揺さぶってクライマックスを迎えるかと思うと、想像だけでキャパオーバーしそう。