我妻俊樹 忌印恐怖譚 みみざんげ

実話怪談48話を収録。

様々な作家による共作・瞬殺怪談シリーズで知った我妻俊樹が、単独で立ち上げたシリーズ第3弾。「山の牧場」など有名な実話怪談はたくさんあるけど、それに並ぶ印象を残す「ガタガタ」を収録。40歳を境に人生が一変すると言われた女性の様子と家族の巻き込みかた、そして余韻の悪さはなかなか……。 

忌印恐怖譚 みみざんげ (竹書房文庫)

忌印恐怖譚 みみざんげ (竹書房文庫)

 

三上修 電柱鳥類学 スズメはどこに止まってる?

私たちの生活を支える当たり前のインフラでもある電柱と電線。そこには多くの鳥たちが関わっていた。羽休めをするものや、暮らしてしまうものまで、電柱を介して見た鳥たちの姿とは。電柱・電線、そして鳥たちの生態を解説する。

導入は鳥ではなく電柱の解説。確かに複雑怪奇に絡み合って伸びる電線のことも、それを支える電柱のことも何も知らないで歩いていたな……。もちろんカラスやスズメなど、電柱で見かける鳥の話しが書かれるが、読み進めるほど電柱のことをもっと知りたくなってしまった。読了後は視線を上げて歩くことが多くなり、散歩の風景が一変した。電柱の本も読みます。

アンソニー・ホロヴィッツ その裁きは死

敏腕弁護士が殺害されて発見されたが、そこには“182”とペンキで殴り書きされていた。被害者は多くの人前で殺害予告をされていたり、殺される直前に謎の言葉を残していたりしたが……。作家ホロヴィッツと元刑事のホーソーンが再び難事件に挑む。

国内のミステリーランキング総なめだった『メインテーマは殺人』が面白かったので、第1位4冠の本書も読んでみた。全貌がまったく見えてこない序盤から、答えをミスリードさせる展開の上手さは前作同様。多少の好みはあるとしても、ザ・本格ミステリーを読んでいる気持ちよさがある。バディものとしては探偵ホーソーンの不透明な生活がどこまで面白くなるか……。