平田昌弘 人とミルクの1万年

農耕や家畜飼育を始めてから1万年。牧畜を中心とした生活が西アジアで始まり、ミルクを搾取するようになった。ミルクからヨーグルトやチーズ、バターなど保存食が生まれ、ユーラシア各地で食文化が生まれていく。ミルクに魅了された人類学者が案内する、食文化の広がりとは。

丑年なので読んでみた。保存できないミルクから様々な発酵食品が作られている。ミルクを飲めるというのは、当たり前でないと気づかされる。地域によって工程が違ったり、どのような形で残すかに意味があり面白い。インドで食べた乳製品はどれも美味だったと思い出し、また行きたくなってしまった。

人とミルクの1万年 (岩波ジュニア新書)

人とミルクの1万年 (岩波ジュニア新書)

  • 作者:平田 昌弘
  • 発売日: 2014/11/21
  • メディア: 新書
 

佐藤究 Ank : a mirroring ape

発端は1頭のチンパンジーのひと鳴きから始まった。 2026年、京都で大暴動が始まった。母が子を、チームメイト同士が全力で襲い合う姿はネットを介して世界に衝撃を与えた。唯一、異変に気づいた霊長類研究者の鈴木望は立ち向かうが……。

第39回吉川英治文学新人賞、第20回大藪春彦賞を本作で受賞。ヒトと類人猿を分ける要素や、チンパンジーの研究は資料をもとに丁寧に書かれている印象。気持ち盛り上がって一気に読み進めた。一転して中盤以降の暴動シーンや原因解明は、瀬名秀明「BRAIN VALLEY」と比較せざるを得なかった。

綿拔豊昭 図書・図書館史 ライブラリー図書館情報学

文字の起源から、その保存方法。揃った記録を保管するには建物がいる。その管理から運用方法まで、ヨーロッパや中国、日本ではどのように近代化を遂げてきたのか。

どうして図書館は無料なのか、歴史上どうだったのかを知りたくて読んでみた。いずれの国も宗教をベースに個人・専門の図書コレクションが始まり、仲間などに公開されていたのか。ヨーロッパでは中世から国家プロジェクトとしていたり、他言語対応していたり、そのパブリックさに驚く。しかし誤字や編集ミスの多い本だった。

図書・図書館史 (ライブラリー図書館情報学)

図書・図書館史 (ライブラリー図書館情報学)

  • 作者:綿拔 豊昭
  • 発売日: 2014/04/01
  • メディア: 単行本