井波律子 故事成句でたどる楽しい中国史

中国4000年の歴史の中に登場する名君・暴君・英雄・詩人・美女の数々。歴史上に残された言葉、イベント、詩の多くが、私たちの日常会話でも使われている。故事成句をキーワードに、中国の歴史をたどる。

某高校図書室が世界史を学ぶキャンペーンで紹介していたので読んでみた。小説でもゲームでも、大河に流れる小石を見るのが苦手。かなり分かりやすいと感じながら、都度つど立ち止まってしまった。「四面楚歌」「推敲」など、当たり前に使っている言葉だけど、それぞれにエピソードとともに今日まで残っている不思議。将来、唐史の勉強をできれば……。

続きを読む

五所純子 薬を食う女たち

睡眠薬大麻覚醒剤……。薬を手に入れるために体を売り、心を売り、家族を売る女たち。それぞれの生き様を取材するドキュメンタリー。

Twitterでの話題と、著者と連載誌のトラブルを見て、青山ブックセンターで購入してしまった(らしい本じゃないですか)。実際に薬物に溺れる女性たちを取材し、その話しを限りなくまま扱っているのではないか。薬と風俗と貧困の枠組みから抜け出せない様子には、物語のようなダイナミックさは皆無で、ページをめくるほど、ただただ怖さが募っていく。セックスが度々登場するにも関わらず、まったく惹かれなかったのも奇妙な手応えだ。

続きを読む

三上延 ビブリア古書堂の事件手帖6 栞子さんと巡るさだめ

太宰治「晩年」を奪うため、五浦大輔と篠川栞子に危険な行為を及んだ青年が再び現れた。しかし今度は依頼者として、またしても「晩年」を探してほしいという。その本には署名はなくとも、太宰自身の書き込みがあるという。調査を進めるうち、同じ本を巡ってビブリア古書堂の2人の祖父母が関わっていた……。

主人公とヒロインの気持ちがまとまり、落ち着いたエピソードで終幕かと思いきや、また太宰治でプロレスする必要ある? わたしが1番太宰治をわかってるマウントでボコり合わなくてもいいのでは? つくづく読書愛は人を不幸にするなあ……。過去を引き立て、大きな幕を閉じる物語。愛をポジティブにとらえるかどうかで印象が変わる。

続きを読む