中山市朗 怪談狩り あの子はだあれ?

新耳袋」の著者・中山市朗が蒐集した実話怪談シリーズ第6弾。子どものころに出会ったあの子。変わらぬ姿で前に立っているが、これは怪異なのか。それとも……。

複数作家の『瞬殺怪談』、距離感の近い黒木あるじ『無惨百物語』、語り口が絶妙な我妻俊樹『忌印恐怖譚』と並んでおすすめします。その後どうなったんだ……と気持ちが引きずられてしまうエピソードが特徴かも。

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三津田信三 どこの家にも怖いものはいる

作家の三津田信三は、怪談好きという編集者・三間坂と出会い意気投合する。彼の実家から出てきた「家」にまつわる奇妙な話しで盛り上がる。親戚から預かった日記には、少なからず共通点があった。もしこの怪談が繋がっているとすれば……。

ここ最近読んだ現代怪談本、どれもが本書を挙げていたので読まずにはいられなかった。怪談をどのように紡ぐかが1つの読みどころではあるけど、語り口で変わる怖さが面白い。日記、インタビュー、フィクションとして書かれた実体験、調査書の断片。作者の上手さはもちろん、怪談の奥深さを感じさせる。

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石原陽一郎 長岡正哲 石川かおり 茅和伊 アフガニスタンの未来をささえる 国際機関職員の仕事

世界銀行国際移住機関国連人口基金ユネスコアフガニスタンの国際機関で働く4人の日本人が、それぞれの視点から援助の実情と未来への道のりを語る。

アフタガニスタンのニュースを見ながら、こんなに困難な国になったのか理解したくて読んでみた。歴史的、地政学的な脅威に囲まれ、自然災害、紛争、汚職、貧困といった発展途上国が直面する問題が勢揃い。さらにテロとの戦いが増し、ボトムはさらに深まりつつある。世界で1番困難な国と呼ばれる理由がよくわかる。それでも救おうとする人たちがいて「アジアのスイス」になる日を願う。ミステリーのWhy done it ? を読んでいるような気持ちよさがあった。2009年発刊ではあるけど、ナショナルジオグラフィックの最新特集と合わせてぜひ読んでほしい。

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