暮れる前に峠越えを急ぐゼンの前に表れた賊。1人は金目当て、もう1人はゼン以上の剣の使い手と見てとれた。かろうじて逃れたゼンは、あの剣士に再度の手合わせを願う。
森博嗣が書く時代小説シリーズ第4弾。前半は技を磨いていくドキュメンタリーのようで、終盤は剣士の葛藤を心情豊かに書く。都に近づくほど剣筋に魅了されていくゼンの姿に、心揺さぶられた。あと1冊で、ゼンとノギの旅が終わってしまうのか……。
続きを読む池袋の書店で、土曜日ごとに五十円玉二十枚を千円札に両替する中年男の真意とは? 若竹七海の実体験にプロアマ問わず13人が挑戦し、妙技と解答を堪能できる競作アンソロジー。
謎の圧倒的存在感よ。デビュー前に若竹七海賞を受賞した倉知淳の力技は、立方体だと思っていたらルービックキューブのように景色を変えていく強引さよ。剣持鷹士が書くバックグラウンドの深さは、最優秀賞受賞に異論はなし。有栖川有栖「老紳士は何故……?」は、学生アリスが読めてただ嬉しい。いしいひさいちはいしいひさいち節で大好き。佳多山大地「新本格ミステリを識るための100冊令和のためのミステリブックガイド」の紹介をきっかけに読んでよかった。
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