加藤シゲアキ チュベローズで待ってる AGE22&AGE32

就職活動に挫折していた光太は、歌舞伎町のカリスマホスト・雫にスカウトされる。人気ホストクラブ「チュベローズ」で働き始め、夜の酸いも甘いもを知るが、ゲーム会社に勤める美津子からの指名で一変する。自らの夢を掴むために、彼女を利用しようとするが……。

22歳、ホストクラブでの成長を書く「開幕編」。その10年後、社会経験を積んだ光太が真実に近づいていく「完結編」。ホスト成長譚かと思いきや、後半から全然違う物語に変化して、ミステリーとしての着地点は好みが分かれるところだろう。中盤までのサクセス・サラリーマン小説は、テキストも気持ちよくて一気読み。冴えない学生が歌舞伎町のホストで一目置かれるって、まさに現代転生小説のようだ。この味わいでモリモリ読みたかった。

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池上彰 知らないと恥をかく世界の大問題13 現代史の大転換点

池上彰が解説する世界情勢総まとめ。新型コロナウィルス感染症から2年。その先にあるのは「共生」か「分断」か。その中で始まったロシアのウクライナ侵攻。世界各国の思惑はどこに?

ウクライナ侵攻にかけて近代ロシア史に大きくページを割く。リーダビリティの高さと分かりやすさは流石。もう1段階、難しいレベルのニュース総まとめが読みたい。

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アンディ・ウィアー プロジェクト・ヘイル・メアリー

太陽に異常が発生し、シミュレーションによって地球が氷河期に入ると結果が出た。どう足掻いても人口は激減する潮流に乗ろうとしている。人類存亡のために傍若無人な世界プロジェクトが動き出す。地球から遥か11.9光年の彼方で、宇宙船の中で目覚めたのはたった1人……。

僕から言えることは、今すぐ読んでください! だけです。絶賛の声を耳にしながら、まあ文庫化まで待てばと思っていました。Kindle版が半額だったのと、長距離移動があったので購入して大正解!『火星の人』の信頼感で読み始めたら、ガタガタ揺れるトロッコだと思えば、いつの間にか新幹線の線路に乗って超高速の旅へ……。この絶景は冒険小説の面白さだけでは語りきれない。SNSで内容に触れたり、映像化される前に読めてよかった。読書を愛する我々は、それを幸せと呼ぶのです。

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