瀧本哲史 武器としての決断思考

京都大学での講義「意思決定の授業」を凝縮した1冊。これから生きていくのには、自分で考えて、自分で決めて、決断力を身につけていくしかありません。迷ったときに脳内でディベートを行う思考法を教えていく。

青山ブックセンターに寄ると自己啓発書を買ってしまう。色々悩んだ結果、瀧本哲史を選んでいる。新宿紀伊國屋書店では『2020年6月30日にまたここで会おう 瀧本哲史伝説の東大講義』を買っていた。東京の書店には不思議な力がある。とにかく自分の頭で考えろ、ディベートの手法で自分で納得して決めろという内容で、まさにその通りでしかなかった。

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黒木あるじ 黒木魔奇録

親戚からかかってきた電話。SNSで気になったアクセス先。仕事先で訪れたマンションの一室。あの時の出来事は、誰かに語れば断ち切れるのか。

緊縛師が依頼先で出会った夫婦を語る「鞣」が印象的。フリマアプリにまつわる「出品」は、場所にまつわらない襲撃型の傑作。我が身に降りかかるかもしれない緊張感がある。

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夕木春央 方舟

大学時代の仲間と山奥の地下施設を訪れた柊一は、道に迷った3人家族と一晩を過ごした。明朝、地震が発生。岩によって扉が塞がれ、地下3階に溜まっていた水が増し始めた。その矢先、仲間の1人が殺された。残された電力、食糧、水没までのタイムリミットは1週間。犯人が犠牲となって岩を動かせば、皆が助かるのだが……。

Twitterで絶賛を見かけて読んでみた。仲間と第三者と閉ざされる状況や、点在する小道具を推理へと繋げていく様子は、学生アリスを彷彿とさせる。犯人を絞りきれない緊張感と、点在した小道具1つひとつによって殺人犯を挙げる気持ちよさ。クローズドサークルの魅力がここにある。その上で迎える驚愕の結末。もう1度読み返して、あまりにも怖くて本を投げ捨ててしまった。しばらく経っても後味が残っている。

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