中山市朗 怪談狩り 葬儀猫

新耳袋」の著者・中山市朗が蒐集した実話怪談シリーズ第9弾。八甲田山にまつわる怪異の数々。それは土地を越え、話者にもおよぶ……。

角川ホラー文庫で唯一読んでいる実話怪談集。「山の集団」「神隠し」が山ネタだけでない奇妙な共通点があり、じわりと寒気が伝わるよう。楽しい時間が一転する「大黒柱」は、住む場所で連鎖する死が相待って収録作中1番怖い。

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渡辺祐真・編 みんなで読む源氏物語

源氏物語は楽しい! 国文学者や日本語学者、歌人能楽師・芸人・物理学者・翻訳家たちはなぜ挫折し、どう再起して読んだのか。

源氏物語は読んでいなくても、源氏物語概論は読めば読むほど面白くなる。書評家・渡辺祐真による恐ろしいほどざっくりしたあらすじに始まり、俵万智と安田登の対談や軽めのコラムが続く。挫折経験を語るなど、共感を呼ぶ内容がとても読みやすい。文学論、ChatGPTまで拡張していく中盤以降、源氏物語ハードモードになるが早川書房の読書だと感じた。

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キャサリン・R・ハワード ナッシング・マン

かつてレイプや殺人をくり返した連続殺人犯「ナッシング・マン」。今は警備員として慎ましやかな生活に満足をしていた。しかし書店で販売された本を見て状況は一変する。被害者家族のなかで唯一生き残った少女が、真相を追う本を出版しのだ。

ナッシング・マンの今と、書籍パートで過去の事件を具体的に再現する塩梅が絶妙。塩っぱい甘いを交互に口にしているよう。どちらも犯人を身近に感じさせるので、ナッシング・マンの焦りと怒りでどんどん読める。映像感のあるテクニックも多様され、とにかくよく出来た報復サスペンスだ。ラストで強引さを感じつつ、でも本書でしか得られないドライブ感に満足!

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