キャサリン・R・ハワード ナッシング・マン

かつてレイプや殺人をくり返した連続殺人犯「ナッシング・マン」。今は警備員として慎ましやかな生活に満足をしていた。しかし書店で販売された本を見て状況は一変する。被害者家族のなかで唯一生き残った少女が、真相を追う本を出版しのだ。

ナッシング・マンの今と、書籍パートで過去の事件を具体的に再現する塩梅が絶妙。塩っぱい甘いを交互に口にしているよう。どちらも犯人を身近に感じさせるので、ナッシング・マンの焦りと怒りでどんどん読める。映像感のあるテクニックも多様され、とにかくよく出来た報復サスペンスだ。ラストで強引さを感じつつ、でも本書でしか得られないドライブ感に満足!