公募実話怪談大会「怪談マンスリーコンテスト」で注目を浴びた現代怪談の聞き手、鈴木棒のデビュー作。集めた奇妙な体験談37話を収録。
自費電子出版をした「エニグマを集めて」がよかったので、デビュー作から読んでみた。廃墟マンションに残された仏壇で見つけた「花瓶の中の世界」、不思議なクラスメイトにまつわる「宇宙人の涙」は目立つ怖さがある。中でも、占いを得意とする男を書いた「本当に大切なこと」が秀逸。導線も不気味だが結末の冷たさが冴えている。
続きを読む聖女伝説が伝わる里で行われた伝統的な婚礼儀式。同じ杯を飲み回した出席者から、生者と死者が交互に出る“飛び石殺人”が発生した。これは聖女による奇蹟か、それとも意図した殺人か。探偵・上苙丞による「奇蹟の実在」証明が始まる。
推理合戦が始まると思いきや、否定しなければ死へ直結のデスゲームが展開。バトル展開ともいえる多重推理に終盤まで笑みが絶えなかった。前作も同じく、事件にしろ論証にしろ真相にしろ、よく思いつくものだ。感心しかない。
続きを読む