日本SF作家クラブ五〇周年を記念し、1年1作50作家で構成する究極のアンソロジーの第2弾。1973〜82年を収録。 眉村卓、梶尾真治はやっぱり読みやすく、物語も心に染みやすい。少しばかり悲しい物語が多いのは、時代なんですかね。日本SF短篇50 II (日本SF作家…

パリの若手絵師ニコラに大きな依頼がやってきた。貴族の屋敷に相応しいタピストリーとなると、奥方と可愛らしい生娘の隣には一角獣が……。15世紀終わりに作られた巨大タピストリー作製には人々のドラマが隠されていた。 有名なタピストリー作製に関わった人物…

星新一自ら初期のショートショート50編を自選した短編集。 初版が1971年で、それを2013年にKindleで読んでいる未来感、凄いわ。この体験だけでも価値があったな。表題作や「おーい でてこい」などの有名作から、最後に相応しい「最後の地球人」など、星新一…

南アフリカから9.11、そして疲弊した日本へ。日本製の歌姫ロボットを巡る連作短編集。 デビュー作『盤上の夜』（感想）でも面白いのか面白くないのか、よく分かっていなくて、もう俺マジでSFを読む資格ねえなと。ただ、宮内悠介の書く抱き合うシーンだけはと…

突如襲い掛かる謎の大怪獣。急速な進化を継げながら、奴らは確実に人類を押し始めていた。対抗するは偉人の魂をE遺伝子として受け継ぎ、新たな能力を手に入れた人間のみ。平凡な兵器マニアの女子高生は怪物急襲の中、E遺伝子によって信長の力を開花させる！ …

妻から離婚を切り出され、職場の古本屋も潰れる。無職の書けない似非小説家のサムはどん底からはい上がるため、巨漢探偵に弟子入りする。ある美女の素行調査を始めるが、次第に奇妙な流れになって……。 アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀新人賞候補作、日本国内…

粗暴な兄、優しくて危ない弟。誰もが聞き知っているシスターズ兄弟。提督の命令でゴールドラッシュに沸くカリフォルニアに向かった2人は、当然”金”の魅力に溺れた屑たちと対当する。わけもわからぬまま始まるシスターズ兄弟のダメな旅。 弟が語るオフ・ビー…

実話短編シリーズ2冊を再編、書き下ろしを追加したホラー作品集。見知らぬ男の仕掛けた罠。薬へと身を委ねた友人。公衆トイレでの怪。すぐ隣にある狂気。 おーえる、おーえるさん、怖すぎ！ 忙しい夏に読みたくなる超短編ホラーに平山夢明を選んだら、痛いの…

1960年のプラハ。激動の社会主義の中で、日本人少女マリはとても大切な友情を育む。30年後、懐かしの友人3人に再会するため、マリは旅に出る。 社会主義的教育下で、子ども達が語り合う愛国心談義に萌えるのなんの！ 少女たちの友情は30年後、ババア百合にな…

奇才の建築家・中村青司が半狂乱の末に自殺した角島。その島に建てられた十角館へ、ミステリ研究会の面々が訪れる。そして起こる連続殺人。奇妙な館と、姿の見えない殺人犯。そこに見え隠れする影は中村青司なのか……。 読書会用に新装版を再読してみた。表紙…

長野県上田市にある筑波大学菅平高原実験センターにて、大学院生の著者が行ったオンライン講座のまとめ。 kindle版が無料セールしてたのだったか、思わず買ってしまったけど正解だった。菌類学を初歩から教えるテキスト。菌類とは何か、を軽く触れつつ、フィ…

7月7日の午後7時。作家の坂井が服毒自殺後、部屋の窓から飛び落ちた。部屋は戸締りがされ、誰もが自殺だと判断した。しかし、その理由は? 2人の男女が坂井の過去を洗う中、不可解な原稿が見つかる。坂井が残した、ベテラン作家からの盗作原稿……。 kindle版が…

デンマーク・コペンハーゲン警察のアスベストが落ちてくる地下にある、未解決事件を担当する特捜部Q。警部補カール、助手の奇人アサド、気分屋ローセは、連続して起こった同時期の失踪事件に着目する。奇妙な事件は、デンマークを揺るがそうとする新進政党の…

鎌倉で静かに営む”ビブリア古書堂”。美人のオーナーと、元気いっぱいの妹。そこに1冊の本をもっていった俺。祖母が残した夏目漱石『それから』には、知らない男性の署名が入っていた。触ってはいけないと祖母に怒られた記憶と、男の影。本にまつわる人との繋…

山の中で師カシュウによって育てられたゼンは、山を下りる。今までになかった人との出会いに、ゼンの心は揺れる。刀1本、生とは? 強さとは? 表紙とタイトルから、まだスカイ・クロラ・シリーズを書いているのかと、ここ最近まで勘違いしていた。森博嗣が書く…

首にハサミを突き刺して残す、連続少女殺人鬼、通称ハサミ男。丹念に調べ上げ、目標にしていた3人目の少女が何者かによって殺された。その死体の首には、またしてもハサミが……。ハサミ男以外の犯行で、同じ獲物を、誰が、何のために!? うおー、懐かしい、そ…

エーランド島に暮らし始めたペール・メルネル。ある日、疎遠にしていた父ジェリーから電話が入り、気がすすまないまま迎えにいくペール。しかし、そこにいたのは傷ついた父だった。その直後、別荘は全焼。父は何に巻き込まれているのか? 父、娘、元妻、多く…

定年退職したイタリア老人が、引退した実業家をホテルで射殺。事件後は殺害動機以外は全て語った。新米弁護士ライネンは国選弁護人になるも、被害者はかつての親友の祖父だった……。被害者遺族の代理人、ベテラン弁護士のマッティンガーが圧倒的に優勢な中、…

偉才の天才建築家驫木煬が山奥に建てた私邸”眼球堂”。そこに招待された各業界の天才たちと、変人数学者の十和田只人。彼を追ってやってきたルポライター陸奥藍子が揃うとき、回収不可能な死体、密室殺人の事件が始まる……。 第47回メフィスト賞受賞作。もうこ…

毒とはそもそも何なのか? 薬との違いは? その化学的概要から歴史、事例をまとめた本書。しっかりと書かれていて、ザックリと”毒”について勉強できる、気持ちのいい1冊だった。一言だけミステリにも触れられているので、毒殺トリックに興味があればどうぞ。Ki…

静岡県沼津、全裸で河原に捨てられた少女の死体が発見された。新米刑事の一杉研志は、過去の因縁から事件に熱中する。噂の絶えない元小学校教師の逮捕で事件は解決したかのように見えた。そして2年後、同じ手口の事件が発生し、研志は混乱する。本ボシは、別…

日本SF作家クラブ五〇周年を記念し、1年1作50作家で構成する究極のアンソロジーがスタート。 1963年から72年まで、サラリーマンSFが多いってのは良いね。時代も感じつつ、30才超えて分かる寂しさ楽しさもあるなとシミジミ。野田昌宏のが説得力強めで良い。日…

禁酒法時代のボストン。ギャングの下っ端のジョーは、素晴らしい女エマに出会う。そして彼女は、対立する組織のボスの女だった。しかしジョーは諦めずにエマを手に入れようとするが……。 警察の父と若手ギャング、組織のボス、見えない流儀とその流行り廃り。…

西暦12090年、吸血鬼に支配され、恐怖の前に滅びを迎えようとしている人類。しかし、この世のどこかに吸血鬼ハンターが存在するという。辺境の村ランシルバで吸血鬼に襲われた少女ドリスは、旅人のハンター”D”に救いを求めるが……。 Kindle版が激安セールをし…

第1部『七王国の玉座』改訂版（感想）、第2部『王狼たちの戦旗』改訂版（感想）、第3部『剣嵐の大地』改訂版（感想）。そして大陸を混乱に陥れた椅子取りゲームの音楽も止まる。座るのは、母なる女王か、若き姫か。激震の第4部『乱鴉の饗宴』開幕。 300年弱…

元妻が起こした医療ミス問題を巡って、ライターの俺は調査に乗り出した。溶血症の患者は何かを隠していなかったのか? 死因と家族関係を紐解くうちに、俺は患者の奇妙な行動に気付く……。 浦賀和宏、久しぶりの新刊にて医療ミステリ。浦賀和宏の作品というより…

過去に息子を誘拐され殺された新聞記者ジョージは、20年前に失踪した詩人キャサリン・カーの事件に触れる。彼女を通して出会う、新たな面々。そして事件に興味をもった早老症の少女アリス。ジョージはアリスとともに、残された詩と小説から彼女の足跡を追う…

生命保険の支払査定に忙殺されていた若槻のもとに、奇妙な電話がかかってきた。自殺した子どもに、保険金はでるのか。悪戯半分に済ませた若槻だったが、顧客に呼び出され、その家で見つけたのは、子供の首吊り死体だった……。金と命、その先にある悪意……。 第…

クラスメイトの死から始まった不幸の連鎖。彼は自殺だったのか、それとも死んだ彼女の手紙が真実なのか……。告発状と被告人を前に、遂に学級裁判が始まる。踊らされた私たちではない、その結末を決めることができれば、どんな真相だってかまわない……。 クラス…

911後、世界のリーダー・アメリカはテロとの戦いを経て、後進国で多発する内戦、大規模虐殺を阻止しようと暗躍していた。米軍所属のシェパードたちは、各地で謎の男ジョン・ポールの影に気付く。彼の目的、そして我々が彼を狙う理由は? Kindle版が安くなって…