サイモン・シン 暗号解読

フェルマーの最終定理 (新潮文庫)』で評価を得たサイエンス・ライターによる第2弾は、歴史上で様々なドラマを生み、多くの賢人を困惑、そして魅了してきた”暗号”に焦点を当てる。例え、今の暗号史に名を残さずに消えていったとしても、そこに関わった人間の高きプライドを書かせると上手い。
フェルマーの最終定理 (新潮文庫)』にあった、そのものの魅力を追い続けてきた人間たちのドラマ。今回も”暗号”史をテーマに、不思議と一気に読まされる面白さは健在だ。暗号の誕生から、進化、その攻略。全ての歴史は戦争である、と同時に、暗号でもある、と教えてくれる。
最終的に量子暗号論をわかりやすく説明してくれるが、ちょっと息抜きとばかりに挿入される、古代語解読が面白すぎる。最後の一歩まで踏み込んだが先へと進めなかった人間の死や、学術の派閥なども混じり、実にドラマチックだ。

暗号解読〈上〉 (新潮文庫)

暗号解読〈上〉 (新潮文庫)

暗号解読 下巻 (新潮文庫 シ 37-3)

暗号解読 下巻 (新潮文庫 シ 37-3)