冲方丁 スプライトシュピーゲル 4

アフリカ、民族紛争をきっかけにエルファシルで起こった虐殺。この事件を裁くために、国際戦犯法廷がミリオポリス内で行われようとしていた。世界の一面を統べるともいわれる証人たちが集まるも、彼らを護衛する公安高機動隊MSSの足元で同時多発テロが発生する。そして証人たちは一人、また一人と殺されていくが……。
大雨で孤立する国連ビル内で起こる殺人を、主人公たち、そしてFBI法務官とともに追いかける中盤からは見もの。クローズド・サークルものの上位作でもあり、意外な真相も相まって、底が知れない規模のシリーズになってきた。ミステリ・ファンも満足すると言われた『虐殺器官』が受け入れられるなら、その先まで書いた冲方丁の大技を楽しんでもらいたい。
大変な傑作で、どこまでも旨みを噛みしめてやろうとスプライト4→オイレン4→スプライト4再読。これを書くまでに時間がかかってしまった。「もう士郎正宗はいらない。」ってマジでー! と、ここまでたどり着く意欲をいただけたことに感謝。