スチュアート・ウッズ 警察署長

1920年冬、ジョージア州の田舎町デラノの郊外で、青年が全裸で死んでいる姿が発見された。町の初代警察署長になったウィル・ヘンリー・リーは秘密結社KKKによる犯罪だと考えるが、警察によると考えられる尋問の傷跡を見つけ……。奇妙な運命に引きつけられていくように、40,60年代の署長たちも様々なかたちで追うことになる殺人事件の真相とは。
ミステリにも様々な見せ方があるが、1つの町に根付く意思をプロットにした40年に及ぶ傑作大河ミステリだ。まだまだ黒人への差別が根強い20年代に始まり、非協力的な住人たちの反発を覚悟しながら力を尽くす初代警察署長ウィル・ヘンリー・リーの活躍が始まる序盤から、アメリカ史の中でももっともナイーブといえる差別史をなぞりながら、多くの署長がデラノ周辺で起こる青年失踪事件に魅せられていく。彼らの一言、行動が、そして血族が40年後の警察署長になって初めて影響力を出してくる構成も最高だ。

警察署長〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)

警察署長〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)

警察署長〈下〉 (ハヤカワ文庫NV)

警察署長〈下〉 (ハヤカワ文庫NV)