阿古真里 日本外食全史

コロナで大打撃を受けた飲食業界だが、日本人にとって外食はどうして特別なのか。寿司・天ぷら・蕎麦に始まり、今日ではファミレス、ラーメン、アジア料理などB級グルメが幅広く食べられる。日本人の食欲を原点に、食を提供する料理人たちの人生を追う。

和洋中(+ファーストフード・アジア料理)それぞれが変化しようとする内的エネルギーと、グルメマンガや雑誌による外的要因でのブームをそれぞれ丁寧に解説する。大阪万博を機会に、多国籍料理やシステムが一度に入ってきた影響はとても大きい。歴史や大勢の料理人を紹介するため、かなりのボリューム感だと感じながら読んだが、幅広いジャンル論を展開する阿古真里の集大成になっている。読み終わってから少し時間が経つと、色んな外食の思い出が蘇ってくる。小学生のときに食べたイカスミのパスタ。祖父が教えてくれたテーブルマナー。憧れの先輩と深夜に行った激安焼き鳥。初めて子どもを連れていったデパートのファミリー食堂。皆さんの思い出の外食エピソードを聞いてみたい。