氷室冴子 冴子の東京物語

長距離長電話の請求書に驚き「電話代より東京での部屋代が安い?」と気づいた作家、氷室冴子。友人や家族の電話で気づいたエピソード集。

復刊したので、ずっと積んでいた集英社文庫版で読む。北斗の拳にハマりアンソロ小説の執筆を希望する「一子相伝の美学」に爆笑し、大好きだった祖父が亡くなったと知る「記憶」で涙した。人との死別を書いたエッセイでは「壇蜜日記」に並ぶ傑作だ。同時代にデビューした夢枕獏の解説は、果し状とも鎮魂歌ともいえる書きっぷりが素晴らしい。学生時代に氷室冴子を教えてくれた皆さんへ、本当にありがとう御座いました。