杉井光 世界でいちばん透きとおった物語

大御所ミステリ作家・宮内彰吾が死亡した。妻帯者の宮内と関係を結んだ母は、僕を産んで1人で育ててくれた。だから僕には何も残されていない。しかし宮内の遺族は、死ぬ間際に書いていた「世界でいちばん好きとおった物語」の在りかを尋ねてきた。存在しない原稿を巡り、たどり着いた父の姿とは。

週刊文春と新聞の書評欄で気になりつつ、年末に必ず話題になるけど私の好きなミステリではないだろうと悩んで悩んで悩んで読んだ。あっと気づいた瞬間、思わず表紙に立ち返るような1作。先輩たちから名作と薦められた作品を早く読みなさいと、過去の自分に伝えてあげたい。