タナ・フレンチ 捜索者

アイルランド西部の小さな村に移住したアメリカ人のカル。離婚を済ませ、シカゴ警察を退職し、静かな暮らしと小さな家の修復を楽しみにしていた。しかしながら元警官と知った子どもが、失踪した兄の捜索依頼を持ってきた。誰もが顔見知りで穏やかに思えた村では、なにかを隠しているのかもしれない……。

北上次郎が昨年末の新聞で挙げていたので読んでみた。700ページ近い作品だけど、過酷だが美しさを失わない風景描写に引き込まれる。束の間、アイルランドに移住するような時間だった。味の染みこんだ豆腐のような作品で、素朴ながら飽きさせない上手さがある。散りばめられたサスペンスの濃淡が、読者にとっていい刺激になれば。

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