武田惇志 伊藤亜衣 ある行旅死亡人の物語

兵庫県尼崎市の古アパートで孤独死した女性がいた。部屋には現金3400万円、星型マークのペンダントと写真が数十枚。名前とは別の珍しい姓が刻まれたハンコ。数行の死亡記事から2人の記者が動き出した。

名前や本籍が判明せず遺体の引取りがない、数多くいる行旅死亡人。大金を残し孤独死を迎えた女性には主人がいたと記録が物語る……。概要をウェブ配信したところ1200万PVを記録し、手がかりを追った続報を書籍化。いくつかある本書の目的を達成する姿勢に賞賛を送りたい。ただ、どれだけ答えを追い求めても、彼女の歩んだ人生は変わりはしない。静かな寂しさが心に残る。孤独な女性の話しを最近読んでいるな……。