殺人罪の服役から出所後、庭師として小さな会社を経営する黒人のアイク。彼の息子が白人のパートナーとともに惨殺された。パートナーの父、酒浸りのバディ・リーをバディに、息子の生きかたを認められなかった男たちによる犯人探しと復讐が始まった。
ハードボイルド寄りの静かなスタートかと思えば、着火点が低すぎる暴力的なオフビート小説に早替わり。殴っているか血を流しているか、脅しているか吐いているか、いずれかのシーンが続く。ゲイかどうか、黒人か白人かどうかを問う鏡合わせの物語だった。だけど根本は、違うものが認められない薄っぺらな男のプライドなのではないか。静かで冷たい孤独感が、読後も肌に張りつくようだ。