綾辻行人 奇面館の殺人

中村青司が建てた奇面館。仮面で顔を隠した主人・影山逸史によって集められた6人の男たち。仮面を着けて1泊すれば200万円の報酬が得られる。そんな奇妙な会合は問題なく終わるはずだった。翌朝、季節外れの大雪で孤立した館で、主人が無残な死体となって発見される。参加した鹿谷門実らは、目覚めとともに奇妙な違和感をおぼえるが……。
僕は13年前、高校生の夏休みに『十角館の殺人』から『黒猫』まで初めて読んだ。合宿から帰ってすぐに、部屋が暑すぎるから、廊下の椅子に座って夢中になって徹夜して読んだ”館シリーズ”。まるでむせ返るように襲ってくる、異常なまでの小道具の数々。これも伏線なのか、あれも伏線なのかと思わせ、一気に処分していく構成。「僕はこれを読んできたんだな」と感じさせた、5年ぶりの館シリーズ新刊。思いでに溺れるような1作だった。

奇面館の殺人 (講談社ノベルス)

奇面館の殺人 (講談社ノベルス)