池上彰 知らないと恥をかく世界の大問題13 現代史の大転換点

池上彰が解説する世界情勢総まとめ。新型コロナウィルス感染症から2年。その先にあるのは「共生」か「分断」か。その中で始まったロシアのウクライナ侵攻。世界各国の思惑はどこに?

ウクライナ侵攻にかけて近代ロシア史に大きくページを割く。リーダビリティの高さと分かりやすさは流石。もう1段階、難しいレベルのニュース総まとめが読みたい。

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アンディ・ウィアー プロジェクト・ヘイル・メアリー

太陽に異常が発生し、シミュレーションによって地球が氷河期に入ると結果が出た。どう足掻いても人口は激減する潮流に乗ろうとしている。人類存亡のために傍若無人な世界プロジェクトが動き出す。地球から遥か11.9光年の彼方で、宇宙船の中で目覚めたのはたった1人……。

僕から言えることは、今すぐ読んでください! だけです。絶賛の声を耳にしながら、まあ文庫化まで待てばと思っていました。Kindle版が半額だったのと、長距離移動があったので購入して大正解!『火星の人』の信頼感で読み始めたら、ガタガタ揺れるトロッコだと思えば、いつの間にか新幹線の線路に乗って超高速の旅へ……。この絶景は冒険小説の面白さだけでは語りきれない。SNSで内容に触れたり、映像化される前に読めてよかった。読書を愛する我々は、それを幸せと呼ぶのです。

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乙一 中田永一 山白朝子 安達寛高 沈みかけの船より、愛をこめて 幻夢コレクション

少し不思議な物語からミステリー、ホラーなどバラエティーにあふれた“ひとり”アンソロジー。ダメな自分に再開していく「地球に磔にされた男」。いつの間にか妊娠していた「東京」。曰くつきのキャンプ場へ撮影に行く「背景の人々」など11編を収録。

離婚する親のどちらに行くかを選択する表題作や、ホームズとワトソンを人面瘡と演じる「二つの顔と表面 Two faces and a surface」は、乙一らしいミステリー。シンプルな組み立てだが苦味のある結末がやはり上手い。違う作風を交互に収録しているので、甘い辛いでお菓子を食べるような、不思議な満足感がある。中でも秀逸なのは、フリーターが「時間跳躍機構」で別世界の自分に会う「地球に磔にされた男」。会いたい誰かのためではなく、待ってくれている誰かのための物語だった。僕が乙一ベストアンソロジーを組むなら絶対入れる。

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