美人民俗学者・蓮丈那智と助手の内藤が興味を示し調査にでると、殺人事件に巻き込まれてしまう連作短編集。歴史ミステリの話題になっても、本作がでることって不思議となかったんだよなあ、と思ってしまう納得の内容と出来。
「聖徳太子はイエス・キリストだった」という飽きあきしたテーマの「邪宗仏」が収録作でベスト。隠れキリシタンと両手のない観音菩薩を使い、見立て殺人と共に、なるほどそんな使いかたと答えがあったかと、本当に歓心させられる。
死者を呼ぶとされる仮面をめぐる表題作や、穢れとされた女性を閉じ込めておく「不帰屋」で起こった密室殺人なども収録。本格ミステリと呼ばれる要素と、伝承されてきた土地の要素が上手いこと絡み合っている。なので歴史ミステリに対してよく聞く「ミステリいらねえ!」という言葉がでてこない。
- 作者: 北森鴻
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2003/01/29
- メディア: 文庫
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