エラリー・クイーン レーン最後の事件

サム元警視のもとを訪ねてきたのは、七色のひげの不思議な男だった。彼は1通の封筒を託し、もし連絡がなければドルリー・レーンに開封してもらいたいという。同じ頃、シェイクスピア稀覯本を展示する博物館ですりかえ事件がおこり、サムはレーンと共に事件の謎を追うが……。
ドルリー・レーン最後の活躍にして、X,Y,Zの悲劇を締める4部作『レーン最後の事件』。シェイクスピアを中心とした謎は当にタイトルに相応しく、しかし奇妙な事件は地味に展開し、中々その魅力は顔を出してこない。しかし真相に近づいていくほど、謎を演出する展開は実にドラマチックに。序盤に仕組まれた巧みな伏線は、今でこそ何度も登場しているネタだけど気づかせず、そこを評してもなお足りないクライマックスへの素晴らしさ。これだわー……。古典が古典と、名作、傑作と呼ぶ中で代表する1作品だ。
ちなみに僕が読んだのは創元版。再読をするべき推理小説だと感じたので、次はハヤカワ版を読もう。

ドルリイ・レーン最後の事件 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

ドルリイ・レーン最後の事件 (ハヤカワ・ミステリ文庫)