石川明人 宗教を「信じる」とはどういうことか

科学を誰もが学ぶ時代に、神を信じることはできるのだろうか。全知全能の神がいるのに、どうして悪や苦痛が存在するのか。誰もが抱く疑問を、歴史を通して解説する。

信仰を利用する人もいれば、それで救われる人もいる。信仰は善と言いきれるのか。なぜ悪にもなってしまうのか今でも悩んでいます。1つでも答えがもらえるのではないかと思い、書店の特集を機会に読んでみた。キリスト教を中心とした宗教学者による、信仰心のなぜを説く。信仰への希薄さ、熱心さへの批判、不条理さへの疑問は、長い歴史のなかで何度もくり返されてきたと気付かされる。信仰に正面から向かい合う姿勢への感動は、解説や批判では起こり得ない。答えが出たわけではないが、忘れられない1冊になった。