氷室冴子 ざ・ちぇんじ! 新釈とりかえばや物語

時は平安後期。権大納言の藤原顕通は2人の子どもに恵まれた。しかし、男勝りで活発な姉は男の子として、内気で気絶癖のある弟は女の子として育ってしまった。15才になった綺羅姫は元服し宮中で仕えることに。帝が気にする女性は、家で泣いている弟の綺羅君!?

とりかえばや物語氷室冴子がドタバタコメディに仕上げる。主人公たちの喜びと悲しみは読者の感情となり、終いには敵さえ愛おしい。氷室冴子の上手さに押し倒されるようだった。姉弟それぞれ成長する姿にハラハラしっぱなしで終盤まで飽きがこない。綺羅姫、綺羅君、大好きだ。源氏物語女三宮の心境がわかったのも大きな収穫だった。もしも氷室冴子ピカレスクロマンの源氏物語を書いていれば……。