芦沢央 汚れた手をそこで拭かない

夫が犯した過去の誤ちを聞く、余命いくばくかの妻。プールの水を排水してしまい焦る小学校教師。認知症の妻を優しく見守る夫。元不倫相手と再会してしまった料理研究家。一つの言葉、一瞬の迷いがその人を蝕んでいく……。

Twitterで気になる感想を見かけて読んでみた。逃げ惑う弱い人に足を出してこかすような「嫌な物語」で素晴らしい。油断や誤魔化し、または優しさや興味が、悪い流れにさそわれて気がついた時には……。思わず目の前のもので手を拭いてしまうが、また悪循環に。冷や汗を巧みに書くので、他の作品も読んでみたくなった。