千早茜 透明な夜の香り

市街から少し離れた洋館に、オーダーメイドの香水を作る調香師・小川朔が住んでいた。家事手伝いを任されることになった一香は、奇妙な仲間とともに、朔の身の回りを整えていく。しかし彼には依頼者の体調ばかりか、嘘をも嗅ぎとる力があった……。

第6回渡辺淳一文学賞受賞作。「香水の調香師をテーマにした小説でよかったよ」「こういうのって綺麗ごとばかりですよね」「それがさあ……」という流れで読んでみた。確かに! 豊かな自然描写、濃厚な香りの説明だけではない。少女小説がベースにあって、大人が抱える問題に踏みこんでいく様子がエロ汚い。もっと厳しくてもいいのよ。メディア化受けもよさそうだけど、まずは続編を希望したい。