水上勉 飢餓海峡

台風によって転覆した青函連絡船。近隣住民によって救助と死体の回収が行われたが、身元不明の遺体が2体並んでいた……。青森の寒村で大男と出会った八重は、思わぬ大金を渡され借金を返済する。犯罪の予感を隠し、いつか御礼を伝えたいとずっと願っていた。男は犬飼多吉と名乗っていた。

結婚してしばらく、義実家で鍋をつっついていると義父から読んだかと訊ねられたのであった。あれから8年も積んでしまった(本当すいません)。前半は時代に翻弄される女性の運命、後半は刑事たちが影さえ踏ませない男の生い立ちを追う姿が熱い。始終、宮部みゆき火車」の興奮を思い出しながら一気に読んでしまった。今の話題作もいいけど、読み継がれるサスペンスはこれからも読んでいきたい。