井上真偽 その可能性はすでに考えた

山村で起きたカルト教団による集団斬首自殺事件。唯一生き残った少女は、首を切られた少年に運ばれた記憶があった。その証言と残された忌録から、奇跡は起こったと全ての可能性は否定できるのか?

知人から紹介されて半信半疑で読んでみた(大変失礼な話しではある)探偵・上苙丞(うえおろじょう)が登場するシリーズ1作目。今流行りの多重解決かと思いきや、本書は探偵たちが可能性で殴り合い、強い奴が勝ち残る格闘小説だった。これは推理小説界の異種格闘技戦であり、漫画ならグラップラー刃牙だ。技でも筋力でもない、高速のストレートパンチで呆気なく勝利に導かれる場合もある。紹介者に感謝をしつつ、次巻を購入した。