葉真中顕 そして、海の泡になる

バブル絶頂期の大波が引くなか、個人史上最高額4,300億円の負債を抱えて自己破産いた朝比奈ハル。平成が終わる年、彼女は獄中で静かに死んだ。彼女の半生を小説に書こうと決めた私は、ハルの縁者に聞き取りを始める……。

葉真中顕が書く“時代に溺れた主人公”ものはリーダビリティ高くハズレなく面白い。インタビューを受ける登場人物や、エピソードに小さいけど確実な引っかかりがある。不思議な構成だと感じさせつつ、終盤で明かされると素直な驚きがあった。