小野不由美 風の海 迷宮の岸 十二国記2

戴国麒麟として生まれるべき泰麒は、突然の蝕で蓬莱に流され、人の子として育った。10年後、無事に戻った泰麒だったがその役割と命を理解できなかった。しかし「王」の名乗りを挙げたものたちが集まり、麒麟としての葛藤は増す。

王になる名作は数々あれど、王を選ぶ物語も面白い。自身への資格を疑い葛藤し、いつか命運が熟すはずと誰もが見守る優しさが鋭いほど痛い。クライマックスは疾走感高く美しく、オーケストラの演奏が聴こえるような、90分の上質な劇場アニメを見ているようだった。既読のシリーズ中で1番好きだったかも。