朝井リョウ 正欲

不登校の息子が動画コンテンツに影響を受ける検事・啓喜。学生生活を通して初恋を自覚する八重子。誰にも明かしたことのない気持ちを抱いている契約社員の夏月。とある事件をきっかけに、それぞれの感情が交差する。

妻から紹介されて読んだ珍しい1冊。誰にも言えないエモーション。被害者がいなければ、それは「正欲」なのか。ノーマル・アブノーマルの判断を通して、人との距離感が書かれる。勝手に近くなる人、自ずから遠い人。読みながら身近な誰かを思い浮かべるだろう。ニッチなようで、読みてに満遍なく刺さるテクニックが上手い。