デヴィッド・マドセン カニバリストの告白

私は彼を殺していない。一人の男が美しいものを追求した先に見つけたものは、究極のレシピだった。料理の才能に恵まれ、天才と評されたシェフによってつづられる、生まれながらの奇妙な運命。そして、彼がどれほど肉を愛していたかを。あの男をどれほど憎んでいたかを。
id:urioの人から、京都SFフェスティバル後に薦められて。ありがとう御座いました。池田真紀子の訳文で読みやすく面白いのに、他人に薦めにくい。いや薦められて嬉しいんだけど、薦められた自分は何というか……。ともかく、ミステリでなければノンフィクションでもないが、なんとも奇妙な作品というべきか。淡々と書かれる母への思いと、生肉への愛。あまりにも強烈な思いは笑いになってしまうのだが(あるベッドシーンは必ず大笑いするので読んでほしい)、一度引きこまれてしまうと、まるで酔ったような気持ちよさと、胃のむかつきが混ざりあうだろう。それにしても、表紙の料理が美味しそうなんですよね。

カニバリストの告白

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