米澤穂信 可燃物

群馬県警の葛警部は、上司からも部下からも好かれてはいなかったが、誰もが彼は優秀だと知っていた。スキー場の遭難現場で起こった殺人事件では凶器が見つからなかった。山中で見つかったバラバラ死体を巡る顛末。連続放火事件がぴたりと止まってしまい、犯人を追い込めない表題作など5編を収録。

各ミステリー大賞4冠の本作。一貫して捜査しか頭にない、徹底的な職人の姿勢を通して事件を書く。夜空を見上げる行為さえ感傷ではなく捜査のためで、ソリッドなキャラクタ造形に痺れる。米澤穂信不得意ですが、バラバラ死体のWhyを書いた「命の恩」を筆頭に全編よかった。