北沢陶 他 慄く 最恐の書き下ろしアンソロジー

角川ホラー文庫30周年を記念して刊行されたアンソロジー。少し遅れて刊行された3巻は、有栖川有栖貴志祐介恩田陸のベテランが名を連ねる。しかしながら圧倒的な存在感を示したのは北沢陶で間違いないだろう。大阪の道修町、薬問屋の丁稚を主人公に、職住一体の関係性を書いた「お家さん」。ホラーに震えるとか、怖いという感情を今まで間違っていたのではないだろうか。別格の緊張感と恐怖の演出が相まった傑作。ぜひ一読いただきたい。