今年はこれがよかった! という俺ベスト(06年度)(07年度)(08年度)(09年度)(10年度)(11年度)(12年度)(13年度)(14年度)(15年度)。終盤で挫折していた『フルメタル・パニック!』シリーズを唐突に最初から読み通したくなった結果、多くの時間を取られた分、通年の冊数は稼げたけどさあ……。本当アニメとネットとゲームに時間使いすぎ! そんな自分じゃダメ! と思った年末です。
アンデシュ・ルースルンド&ステファン・トゥンベリ『熊と踊れ』は十分すぎるほどの大作。スウェーデンで実際にあった事件を元に、その実行犯の兄弟が書くハーフ・フィクション。初っぱなからまさかの奈津川家サーガで超テンション上がってしまった。銀行強盗の美しい流れ、最後へとなだれ込む緊張感に読んでいて震えた。
ほんまこんな見苦しいシリーズやめろよと思って読んだ森博嗣『Χの悲劇』は、ダメ我慢できない早く抱いて! になるから恐ろしい。惰性でもファンを続けていて超良かったの一言。
毎年この作家は読んでおきたいシリーズから、パトリック&アンジーのデニス・レへイン『穢れしものに祝福を』。大先輩であり兄貴であり超一流の名探偵はどこへ消えてしまったのか。会話のテンポ、事件の酷さ、そして真相どれも十分に面白くてとても満足。
他の作家と誤解したまま読めていなかった若竹七海。まずはこれからと母に紹介してもらった、フリーター・葉村晶が活躍する短編集『プレゼント』。一発のパンチが重すぎるし、終盤の切れ味はあまりにも滑らかでビックリ。「再生」が読めただけで今年は満足かも。
橋本治『これで古典がよくわかる』は古典というより、古典の持つダイナミズムがよくわかる。漢字からひらがな混合、そしてひらがなへ移るタイミングなど、古典史全体の流れをこの1冊で垣間見れるのは大変貴重だ。
酒飲みのくだらない話しを気持ちよく聞いているような『柳下毅一郎の特殊な本棚』は今年1位、2位ぐらいの読書体験だったかも。犯罪に関わる奇妙な本の紹介ばかりで、その本を読みたいというよりは、作者のエッセイをもっと読んでみたい。
とても印象に残った1冊として鹿島圭介『警視庁長官を撃った男』。オウム真理教犯人説が濃厚な警視庁長官狙撃事件の犯人は別にいた、という切り口。というか本当に別にいたんだ……。「一発の銃弾で歴史を変えることができる」は当に生きるプリンチップ社。
近未来ウィーン。人種・文化・技術・遺産が集結する国際都市ミリオポリス。2つの組織 / 物語『スプライトシュピーゲル』と『オイレンシュピーゲル』が1つに交差する”テスタメント・シュピーゲル”。複雑に交錯する伏線は、それぞれの思いや欲望のもとに、1本の糸に収束されていく。休む間も与えずプリンチップ社によるテロ事件が連続して発生。世界を震撼させる敵たち。都市に眠る数不明の爆弾。特甲児童の少女たちは、それぞれの未来と過去を見つめようと現場に駆けつけたが、事件の裏には”彼女たちの記憶”が深く関わっていた……。心を支えてくれる人のために、そして自分のために戦う少女・少年たち。終わらない 鏡合わせの物語。
2009年に開幕した『テスタメント・シュピーゲル』。続編『2』が2014年からKindle連載開始。2015年夏には『3』の連載開始とあったのを忘れていませんよ! はよ出せやカス! と思っていたら急に2016年末に出るって……。再読とか準備させてくれや……(急に弱腰)。結局、最初から『2』再読まで終わりきらないまま『3』に入ったけど、伏線と思っていなかったものが強烈な伏線になっていて……そっ閉じ。これは『2』をしっかりと味わって、年始の奇麗な心で読みます。これから正に「終わりの始まり」。ページをめくる指先が痛い。
来年は順調にいけば子どもが産まれます。ビックリ。雑誌を読むようにして、Paperwhiteを新しくしたいな。