06年度読んでよかった本

今年はこれがよかった! という自分なりのベスト(05年版)。今まで散々「未完のシリーズものが嫌い」と言ってきたけど、今年はシリーズもの(完結したのもふくめて)が実に熱かった。
まずは紹介してもらった作品で、2年ぶりシリーズ発売 and 完結 and 講談社文庫に移ったのを記念して、とみなが貴和『EDGE』シリーズ全5巻。
EDGE (講談社X文庫ホワイトハート) EDGE(2)~3月の誘惑者~ (講談社X文庫ホワイトハート) EDGE(3)~毒の夏~ (講談社X文庫ホワイトハート) EDGE(4)~檻のない虜囚~ (講談社X文庫ホワイトハート) EDGE5 ロスト・チルドレン (講談社X文庫 ホワイトハート)
謎の過去をもった女性プロファイラが追うのは爆弾犯、幼女誘拐、毒殺魔、猟奇犯、そして最終巻で悪夢再び……。キャラクタ小説としても存分に楽しませてくれるけど、ミステリとしては山田正紀『女性囮捜査官』に劣らぬ出来っぷり。講談社文庫版の解説に、あの新本格作家たちが書いたって不思議じゃない(あおりすぎ?)。その2つが合わさり、衝撃のラストを書いた3巻がベスト。今年、忘れられない犯人が登場したミステリはこのシリーズと麻耶雄嵩神様ゲーム』ぐらいか。
続いて、紹介してもらいながら長いこと読まなかったけど、火がつけばそりゃもう中2的大ファン。このシリーズが終わったら彼女と結婚するんだ、ヘヘッ。っつーわけで未完臭もしつつ、完結まではサイトを続けていたいジョージ・R・R・マーティン氷と炎の歌』シリーズ。その時はお祭しましょう。
七王国の玉座〈1〉―氷と炎の歌〈1〉 (ハヤカワ文庫SF) 七王国の玉座〈2〉―氷と炎の歌〈1〉 (ハヤカワ文庫SF) 七王国の玉座〈3〉―氷と炎の歌〈1〉 (ハヤカワ文庫SF) 七王国の玉座〈4〉―氷と炎の歌〈1〉 (ハヤカワ文庫SF) 七王国の玉座〈5〉―氷と炎の歌〈1〉 (ハヤカワ文庫SF)
イギリスの内乱、薔薇戦争を下じきにしたチャンポン時代ファンタジー大長編。エリス・ターガリエンを倒し、王についたロバート・パラシオンは、友人であり北の王エダード・スタークに補佐役”王の手”を頼む。民衆や領主は再び訪れる春を待ちわびていた。しかし、長い冬の足音を、エダードは聞き逃さなかった……。左から、エダードの私生児であり夜警団に入ることを決意したジョン・スノウ。海の彼方から父エリスの復讐を目ろむデーナリス・ターガリエン。誰よりも賢人であるけど、その豊かな舌が災いを呼ぶティリオン・ラニスター。王ロバートの妃であるが、愛する人のために苦悩するサーセイ。賢く、強く、そして愛情にあふれる父エダード・スターク。
文庫版1巻を読んだら2巻が待てるわけがなく、そのまま図書館へ走った6月でした。ノートに人物相関図を書いて、意外な血縁が明かされては書きなおして、2部に入って、また書き足して、死んでは消して……。そして3部2巻まででた今年。
七王国の玉座〈上〉―氷と炎の歌〈1〉 (氷と炎の歌 (1)) 七王国の玉座〈下〉―氷と炎の歌〈1〉 (氷と炎の歌 1) 王狼たちの戦旗 (上) (氷と炎の歌 2) 王狼たちの戦旗 (下) (氷と炎の歌 2) 剣嵐の大地〈1〉 (氷と炎の歌 (3)) 剣嵐の大地〈2〉 (氷と炎の歌 3)
左から、ジョン・スノウ、デーナリス・ターガリエンに続き、混乱の中で運命に翻弄され続けるアリア・スターク(エダードの次女)。何もできないからこそ知で未来を切り開こうとするブラン・スターク(次男)。悲劇の中、歌を愛しつづけるサンサ(長女)。そして再びティリオン。受賞結果などはハヤカワ特設サイトを見てちょうだい(おおーっと3部3巻表紙は君か!)。
もう1作、今年の話題で欠かせないのが歴史ものでありシリーズもの(『氷と炎の歌』シリーズはファンタジーだけど、やってることは歴史小説だそうで)が、6年ぶりにでた斉藤洋『白狐魔記』。そんなに驚きがないのは『ルドルフ』シリーズが14年だったもんな。
源平の風 (白狐魔記 1) 蒙古の波 (白狐魔記 2) 洛中の火 (白狐魔記 3) 戦国の雲 (白狐魔記 4)
人間の生死に興味をしめした狐は、仙人のもとで修行し、不老不死の白狐魔丸を名乗る。どうして彼らは主のために命を捨てるのか? 彼女はそれでも愛した人のために復讐を続けるのか? 人にまぎれて苦悩する白狐魔丸。時代+ファンタジー+児童書、そして常にもりあがる物語だから読みやすい。全4巻だと聞いていたけど、これでは終わってない? 続きがでるならうれしいことです。