カルフォルニア州、海沿いの小さな町ケープ・ヘイヴン。30年前に起こった少女殺人事件の影響がまだまだ残っている。自称無法者の少女ダッチェスは、事件から立ち直れない母親と、まだ幼い弟のために信念をもって生きていた。そして犯人が刑期を終えて帰ってくる。かつての親友であり警察署長のウォークは喜びと同時に、はかり知れない不安を感じていた。
英国推理作家協会賞最優秀長篇賞、年末の国内ミステリー関連で3冠。ホロヴィッツじゃないの? と思いさっそく読んだ。これは家族・成長・姉弟の物語であり、死への、生への旅の物語だ。アンバランスなダッチェスの心境と、手をさし伸べようとするけど触れあえない人々。我が子への姿と重なって、幸せになってくれ! という感情が止まらず、終盤は息を止めて読んでいた。バスで、新幹線で、布団の中で泣いてしまった。誰も間違った選択をしていないのに、ボタンのかけ違いから起こる顛末と真相。とても穏やかに書かれても、それぞれの冷静な判断に温かさより寒気を覚えた。天が輝かしいのは闇にいるからなのか。
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