19年度読んでよかった本

今年はこれがよかった!という俺ベスト(06年度)(07年度)(08年度)(09年度)(10年度)(11年度)(12年度)(13年度)(14年度)(15年度)(16年度)(17年度)(18年度)。

時間のマネジメントをして読書量は1.2倍!残念ながら90冊に届かず。しかし読み終えた本の感想をストックしない! はほぼ達成。ふり返ると充実した内容の1年だった。

人間のように泣いたのか? Did She Cry Humanly? Wシリーズ (講談社タイガ) 愛しき者はすべて去りゆく (角川文庫) 悪女について (新潮文庫) isbn:B07XT84LH8:image

朝日新聞の書評欄から読み始めた、森博嗣のWシリーズ全10巻。通して辛かったものの最終巻「人間のように泣いたのか? Did She Cry Humanly?(感想)」で、全方向から森博嗣節が展開され、ボッコボコになり、痙攣しながら読み終えることになる。恐るべき傑作。続編のWWシリーズにはひっくり返ったけど。

デニス・レヘインのパトリック&アンジー・シリーズ第4弾「愛しき者はすべて去りゆく(感想)」はバディもの、幼児誘拐、家族愛、どの切り口でもただただ心が痛い。シリーズ通して過酷だが今回の出来は極悪。誰も間違っていない、誰も正解ではないラストの余韻は……あぁ……。一読して悶々と眠れない夜を過ごしてほしい。

書店で「昭和のミステリー第1位(と言っても過言ではない)」とあった、有吉佐和子「悪女について」(感想)は、35年前の作品だけど色あせる要素は皆無。雰囲気作りが上手く、文章の間から見える時代背景は鮮やかで、それぞれの視点で描かれる富小路公子像の瑞々しいことよ……。

小川哲「嘘と正典」(感想)は、Kindleにて収録作「魔術師 無料版」があるので読んでください。世間から忘れられたマジシャンが最後に挑むトリックはタイムトラベル。その舞台を目の当たりにした姉弟の戸惑いを書く。最大速度で飛び出すジェットコースターに乗って、そのまま空中に放り出されるような快感だった。今年1番の短編です。

瞬殺怪談 業 (竹書房文庫) 無惨百物語 みちづれ (角川ホラー文庫) 無惨百物語 ておくれ (角川ホラー文庫) ふしぎな世界を見てみよう! リアル妖怪 大図鑑

近所の男の子が「怪談好き!」とアピールしてきたことで、俺の中の怪談愛に火がついた! というわけでもないですが、現代百物語系は定期的に読んだ。平山夢明が率いる怪談アンソロジー瞬殺怪談(感想)」が熱い。黒木あるじの無惨百物語シリーズ無惨百物語 みちづれ(感想)」「無惨百物語 ておくれ(感想)」も大きな収穫。怪談が好きな人はオススメを教えてほしい。

「カルト」はすぐ隣に: オウムに引き寄せられた若者たち (岩波ジュニア新書) 王朝生活の基礎知識 古典のなかの女性たち (角川選書) 漢語の知識 (岩波ジュニア新書 25) 育児百景 Slice of Life エパミナンダス 1

新書から3冊。まずは江川紹子オウム真理教の一連の事件、その加害者たちの生い立ちと心境をつづった『「カルト」はすぐ隣に オウムに引き寄せられた若者たち(感想)』。岩波ジュニア新書の中でも刺激の強い1冊。ただただ恐ろしい。一気読みという意味では今年を代表する本です。いきいきとした女性たちの生活を書いた川村裕子「王朝生活の基礎知識 古典のなかの女性たち」(感想)と、日本語のベースにある知識を展開する一海知義「漢語の知識」(感想)が今年の収穫。どちらも新しい本ではないし、知識のメインストリームにはならない。けど、自分の足元を見つめるような、立ち位置を教えてくれるような1冊。

子どもがある程度のサイズになってきて、児童書を読みたい気持ちが出てきた。その中で子育て本のくぼあやこ「育児百景 Slice of Life」(感想)や、教文館ナルニア国で購入した東京子ども図書館 エパミナンダス 愛蔵版 おはなしのろうそく1(感想)が思い出の作品。パディントンとかチッチとか、少しずつ読んでいきたい。

以上、幅は広がったけどミステリーは十分に読めなかった2019年でした。小川一水「天冥の標」シリーズは読み終わらず、十二国記にはたどり着けさえしなかった。シリーズものはマジで体力も気力、時間も使うなあ。

子どもとレゴでピラミッドを作りながら書きました。来年も淡々と更新していきます。